1st album 木箱のリボンを - Recording Note -
01.アルバムのこと
02.はじまりは
03.GINJIN STUDIOへ
04.音の魔術師
05.頼れる助っ人たち
06.呑むのも作品作りのうち
07.バトンタッチ
08.アートワーク
09.comment
10.Producer's Note
11.「木箱のリボンを」全曲解説
![]() 01.アルバムのこと
日々の暮らしの断片から紡ぎ出される無垢な心象。
原風景のスケッチ、無音の奏でる色彩。
ギター弾き語りは鉛筆のデッサン。
そこに、パステル、水彩、時には 油絵具で色彩を足してゆくようなサウンドメイキング。
必要な音は目の前にある。
根底にブリテイッシュ・フォークやアーシーなアメリカンロック、
FAB4への愛情を抱きつつ独特な質感を持った世界をかもし出します。
プロデュースに藤原マヒト、ゲスト・ミュージシャンに伊賀航・大久保由希・okyonを迎え、
GINJIN STUDIOにてレコーディング。
木箱のリボンを解いてみたら、いったいどんな宝物が詰まっているのでしょう。
そっと開けてみてください。
「木箱のリボンを」 1.木箱のリボンを
2.台所と夕暮れ
3.貨物列車は北へ
4.ポリジの庭
5.無音のビートが奏でる色
6.鍵盤弾きの猫使い
7.紫陽花グラデーション
8.七色の緑
9.微熱
10.マルハナバチ
11.かもめ島
02.はじまりは
マヒトさんと福岡さん
この2人が仲良しになったおかげで私のレコーディングは始まった。
嬉しかった。
03.GINJIN STUDIOへ
![]() いざ、録音開始。
福岡さんのエンジニアリングのもと、今まで作った楽曲を弾き語りから録っていく。
口数は少ないが、迷っていると的確なアドバイスをくれる氏。
04.音の魔術師
![]() 私の弾き語りをベーシックに、
マヒトさんがベース・鍵盤・マンドリンなどあらゆる楽器を重ねていく。
まるで絵を描くように…
万華鏡のような音楽家です。
05.頼れる助っ人たち
![]() okyonちゃん(percussion)
ユッキー(drums)
伊賀さん(contrabass)、
みな気心知れた信頼の置ける音楽家たちです。
06.呑むのも作品作りのうち
![]() 07.バトンタッチ
![]() mixed by 原真人
mastered by 上野 洋
08.アートワーク
![]() 実物は包装紙で使うような薄い紙にプリントされていて
うっすら裏の文字が透けて見えて、やわらかく優しい雰囲気。
まるで雲の中の風景を覗いているよう。
--
illustration 芳野
design 葉田いづみ
09.comment
![]() どの楽曲もすばらしい!
花と生き物の気配、心地よい色と空気感、無駄のない必要なものが最低限にあるサウンド、
それらの要素が極上の織物を紡ぎ出しています。
木箱の中にはそんな日本人のデリケートで美しい工芸品のようなものが入っていました。
− タナカカツキ (マンガ家 「オッス!トン子ちゃん」「バカドリル」 )
料理で一番むずかしいのは弱火の使いかた。
弱火でコトコト、中身にしっかり火がとおったような、 そんな音楽は大事にしたい。
そんな音楽をつくったtoncoさん、とても気に入りました。
日本人離れしたメロディ・センスなのに、なじみやすい。
なじみやすいのに、どこか謎がある。
たぶん、音に自分の風景を持っている人なのでしょう。
− 高木洋司 (ヤマハミュージックアンドビジュアルズ チーフ・プロデューサー )
ひきだしの奧でみつけた
可愛い絵柄の小さなノート
あのコの秘密の日記帳
陽だまりの匂い
返さなくちゃ。
“かもめ島”で会えるだろうか
− 河村博司(音楽家)
toncoのデビューアルバム「木箱のリボンを」を聞きながらゆっくりと時間が過ぎるのを感じています。モノクロの写真のような日々の切り抜かれた歌詞が心地よいメロディとともにあたりを包み込んでくれるようです。
toncoの透明感としっとり感のある声、それとRadio Headにも通じるような、それらを生かした無駄のないアレンジ。藤原マヒトのプロデュースによる所の大きいだろうサウンドメイクはtoncoと言う素材をそのまま美味しくいただけるように目の前に差し出してくれている。
今後の活躍を期待します。
− HIKARU ( DER ZIBET )
木箱のリボンが
ほどけていたので
ちょこっと中を覗いたら
あなたとあなたの馴れ初めが
ちょこまかちょこまか
微笑ましい
のでした
− ノラオンナ ( シンガーソングライター )
10.Producer's Note
![]() 11.「木箱のリボンを」全曲解説
![]() ■M1.「木箱のリボンを」
ガットの爪弾きから導入されてアコーディオン、コントラバス、マンドリンが寄り添います。
アウトロは南欧情緒たっぷり。
ヨーロッパ映画のサントラのような雰囲気を出したかったのです。
■M2.「台所と夕暮れ」
弾き語りのベーシックに後からドラム、ベースをダビングしていったのでタイム感を合わせるのに若干苦労しましたが、ソリッドでざっくりしたリズム隊はジョン・レノン初期のソロ作品や、ニール・ヤングとクレージーホースあたりのイメージ。
ちょっとシュールで幻想的な曲調に、ウーリッツァー、歪ませたピアネット等が色を添えます。
■M3.「貨物列車は北へ」
軽快なネオ・カントリー風の作品。
まず、バイオリン・ベースをダビングしています。つーことで、まあマッカもどきです(笑
間奏で大久保由希さんのスネアとライドシンバルに乗っかるピアノはL,R2本。全編にリズムを入れなかったのはデコボコした親密さを出したかったから。
いろんな楽器が頭の中では鳴っていましたが、敢えて入れないことに・・さて、どんな楽器が鳴っていたのかは想像してみてください。
■M4.「ポリジの庭」
この曲も最初にエレベをダビングしています。
展開部分で8分を刻んでいるのはセカンドベース。
ミラちゃん、ロングホーンベースありがとう!
アルバム中唯一エレキギターを使った曲でもあり、ワウと軽くフェイザーをかましてます。そのエフェクターのせいかノイズが相当のってますね(苦笑
まあ、ノイズも音楽のうち、という主義なので。
それから、ROLAND-SH2000というビンテージなモノシンセが活躍です。ネタばらしちゃうと、ウィングスみたいな入れ方だな。
■M5.「無音のビートが奏でる色」
これも弾き語りベーシックにダビングしたのでテンポ揺れてるし、okyonの16分シェイカーたいへんかなあと思っていたら、なんとテイク1オーケーでした!素晴らしい。ガットギターがちょっとアフリカの竪琴コラを思わせる。伊賀君のコンバスがグッと引き締める中、間奏のピアノはモノラル。
toncoにVan Morrisonのアルバム「Enlightenment」みたいに弾いてと言われ、こんな風になりました。
ラスト・ヴァースのコーラス・アレンジはシンガーソングライター、mayulucaさんによるもの。以前、セッションでこの曲を演奏したときにつけていただいたコーラスをレコーディングでtoncoが再現してます。カーペンターズをちらっと彷彿させる、と思うのは僕だけか?
■M6.「鍵盤弾きの猫使い」
これは全員で一発録り。ギター、ボーカルにト゛ラムス、ベース、ハ゜ーカス。その後、ピアノ、アコ、ウクレレを重ねてます。特別参加は猫のナヂ。
蕎麦屋で昼下がりの一杯はサイコーという歌なんでしょうなあ。
リプライズっちゅうことをやってみたかったので、別録りしてお尻にくっつけました。こういうのは意外と手間がかかるんだけど楽しいね。
■M7.「紫陽花グラデーション」
複雑で組曲みたいな、どんどん変化してゆく曲。水が流れるような音のグラデーション。
ポップミュージックの構造としてはちょっと珍しいナンバー。
エキゾチック・モンド感もそこはかとなく漂ってます。睡蓮じゃないけどルノアールとか印象派の絵画が思い浮かびますね。基本的にギター弾き語りにピアノ、エレベ、ウーリッツァーで構築されてますが、伊賀君のコントラバスのアルコ弾き(弓)が効いてる!
今回、コントラバスはかなりアルコ弾きがフィーチャーされアンサンブルに奥行きを生じさせる大きな要因となっています。
■M8.「七色の緑」
2本のギターとコントラバスのみの楽器編成。なんだか懐かしいような静謐さ。
「真夜中のギター」(千賀かおる )やジャニス・イアンを思い出すような。最後のコーラスパートがグッときます。
■M9.「微熱」
ドラム、ベース、tonco弾き語りでベーシック一発録り。
ブリティッシュトラッド的な質感の濃厚な力作。
アレンジをエレベから構築していったのとユッキーのドラムと同時に録ったためか、アルバム中もっともロック的なアンサンブルかもしれません。toncoのギターは1弦から4弦までカポをつけた変則チューニング。アウトロの雰囲気はマンドリンのリフのせいかどことなくピンク・フロイド。
僕の頭の中で鳴っていたのは、ドノヴァンやペンタングル、レッド・ツェッペリン。そして、やっぱりポール・マッカートニーでした(苦笑
間奏前のアルコ・ベースのグリスがしびれる!
■M10.「マルハナバチ」
「微熱」からokyonのパーカスと蜂の羽音に導かれて、ふんわり繋がります。
ポリネーターってなんだ?言葉の意味が分からなくてもその響きでこの歌は成立してしまいます。養蜂家の皆さまにぜひ聴いていただきたい!「堤中納言物語」の虫愛ずる姫が歌いそうだ。
ちなみに僕は中学の英語の教科書でbumblebees(マルハナバチ)って覚えたんだよなあ。。
■M11.「かもめ島」
ウーリと歌で始まる、短編小説の導入のような、綺麗な珠のような曲。
北の島の生活。ものすごく地味な幸福。人生はうたかたのまぼろしでしょうか。。天の川って、住所に住んでみたいな。祖母の姉って大伯母さん?
間奏のコーラスワーク(ケイト・ブッシュ?)とアルコベースの絡みは絶品!ブルースハープはスティービーみたいにしたかったのに・・・
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